序言
1.序 言
いよいよ第一期中期計画の最後の年を迎えようとしています。暫定評価ではそれなりに高い評価を受けることが出 来ましたが,21年度年度計画の作成と同時に第一期の最終取りまとめがまだ行われています。それと共に,第二期 中期目標・中期計画の作成作業も始まっています。青天の霹靂の金融危機の影響で研究環境も厳しい状況となってい ますが,一日も早い回復を祈るばかりです。一方,毎年言っていることですが,法人化後の学術政策の状況には厳し いものがあります。学問の本質を見据えた「学術と文化」の発展の視点が重視されること,及び,過度な評価作業の ための「評価疲れ」現象が解消されることを祈っています。
以前より所内で議論を重ねてきましたが,平成21年度から予算制度を若干改め,I M S フェローの待遇を改善する と共に,新たに,「分子研特別研究員」制度を開始することにしました。更に,「分子科学若手育成基金」を設立し, 日本のみならず世界から優秀な博士課程の学生を集める努力を始めました。広く分子科学コミュニティーの方々にも ご協力をお願い致したいと思います。
国の「光・量子科学研究拠点形成に向けた基盤技術開発」事業の一環として,平成20年度途中から開始された「量 子ビーム基盤技術開発プログラム」と「最先端の光の創成を目指したネットワーク研究拠点プログラム」に分子研が 加わっています。前者は,分子研が中心となって名大及び京大との協力で進める5年計画,後者は,阪大,京大,及び, 日本原子力研究開発機構関西光科学研究所とコンソーシアムを組んで10年計画で進められることになっています。 国家基幹事業としての次世代スパコン開発事業はハードウェアの建設が順調に進行しており,分子研が責任を持って 進めているナノ統合グランドチャレンジシミュレーション開発事業も新しい次元に入っています。一方,「化学系研 究設備有効活用ネットワークの構築」は金融危機の影響もあり,予算は依然として十分には付いていませんが,文科 省も有効なシステムとして認識されており育成していってくださるものと信じています。
本分子研リポートは,何時もながら,研究所の現状と評価,及び,将来計画の議論がまとめられ,分子研の全貌が 把握できるように企画されています。研究所所員一同,厳しい学術行政の中においても新しい科学の流れを創成すべ く「真・善・美」と更にはその上にあるという「妙」の意識を目指して,独自の哲学を持って臥薪嘗胆,研鑽に励ま ねばなりません。各方面の皆様方のなお一層のご支援と叱咤激励を心より御願い申し上げます。
平成21年4月 自然科学研究機構 分子科学研究所 所長 中村宏樹